図面とにらめっこするより、会って話す。それが、「食のプロ」を支えるための近道。
営業部 店舗設備設計課 課長 / 2011年入社
W.M さん
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はじめのうちは、悩んでばかり。
私のいる店舗設備設計課では、お客さまの要望を聞いたうえで、自分で図面を引き、搬入までを行うという幅の広い業務を行っています。今でこそ当たり前のように厨房のレイアウトを考えられるようになりましたが、もちろん初めからそうだったわけではありません。
入社したてのころは、厨房機器の知識もなければ、どんなキッチンだと効率的に調理できるのかなんて、想像もつきませんでした。当時は、ひとりで悩むことも多かったように思います。お客さまのほとんどは、これから店をオープンされる方々。食のプロとして、覚悟を決めた方々です。そんな皆さまの想いになんとか応えたい。その気持ちは強かったのですが、気持ちだけではうまくいかないこともたくさんありました。
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悩むくらいなら、足を運べ。
そんな苦労の毎日でしたが、自分なりに努力は続けていました。それこそ、昼食を食べるときも、厨房に目を向けて、料理人たちがどう動いているか、厨房機器をどのように扱っているか、観察するようにしていました。そのときに気づいたんです。同じ料理でもレシピが異なるように、お客さまにはそれぞれ異なるこだわりがあって、調理工程も、どんな動線を辿っているかも、まったく異なるということに。
そのことに気づいてから、「それなら、一人で悩んでいても仕方ない」と思うようになりました。私が提案すべきは、美しいレイアウトの厨房ではなく、お客さまがスムーズに調理できる、お客さまだけの厨房。それなら、誰よりお客さまの話を聞かなければいけない。そう気づいてからは、悩むくらいなら足を運び、現場でお客さまと話し合うことを優先するようになりました。 -
世間話で終わる打ち合わせがあってもいい。
それからは、何度もお会いして、打ち合わせを重ねて、お客さまの声に耳を傾けることに注力しました。ときに、世間話だけで終わることだってありました。それでもいいんです。そうやって人間関係を築いていけば、お互い言いにくかったことも本音で話せますから。仕事とはいえ、ビジネスとはいえ、その根っこは人間関係です。相手の話を聞くことが、いちばん大事なことだと思います。
そうやって引き出したお客さまの「本音」に応えて、自分で図面を引き、機器を搬入した日。お客さまにご確認いただくと、「僕の店はここから始まるんですね」と満面の笑みを浮かべてくださっていて、私も感無量でした。
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遠回りに見えても、それが近道だったりする。
仕事の本質は人間関係。キャリアを積んで知識がついた今でも、その考えは変わりません。もちろん、私の方から提案できる引き出しは増えてきました。お客さまにアドバイスを求められたときに、より柔軟に応えられるようになったことは、自信にもなっています。それでも、決して胡坐をかかずにお客さまと接することが、私なりの仕事の流儀です。
非効率に見えるかもしれないやり方が、効率的だったりもするなと思います。もうこの会社に入って10年以上経ちますが、ありがたいことにお客さまから新しいお客さまを紹介いただくことが増え、仕事はどんどん増えてきています。自分のスタンスが実になってきているな、と感じます。中には、出産祝いを贈ってくださったお客さんもいらっしゃいました。驚きましたけど、嬉しかったですね。仕事を超えたお付き合いができているなと実感した瞬間でした。